2023年は active insulation (行動着として使える断熱素材) が勃興した年だったと思います。
各社から様々な断熱素材を使ったウェアが発売され、実際に購入された方も多いのでは。
個人の MYOG プロジェクトで、こういった active insulation の素材を使おうとした場合、どのような選択肢があるのか、まとめてみました。
- Alpha Direct
最近の active insulation の代名詞にもなりつつある、アメリカ Polartec 社が開発した素材。ベースとなった Alpha の方も active insulation 扱いになっていますが、今はどちらかと言えば Alpha Direct の方がその文脈で取り上げられる機会が多い様に思います。 - Primaloft NEXT / Active
アメリカ Albany 社が開発した素材。1980年代から存在している素材ということもあって、採用実績は豊富。下記の Climashield と同様に米軍の要請を受けて開発されたというのは、有名な話。ちなみに、Primaloft NEXT と Primaloft Active という名称は、ほぼ同様の意味で使われることが多いようですが、NEXT はリサイクル素材を半分以上使うことを前提としているシリーズで、Active の方はいわゆる active insulation 素材という理解で良いかと思います。 - Climashield APEX
Primaloft と同じくらいの長さの歴史があり、米軍での採用実績も多い素材。Climashield の方が Primaloftよりも若干、耐久性があるというのが一般論ですが、これは、ウェアのどの部分に使って、どれだけ摩耗する頻度が高いかによって大きく変わるところなので、なかなか一概には言えないのが難しいところ。他の素材と同じく Climashield にも色々と種類がありますが、APEX が active insulation の用途に最も近いです。 - Octa
日本の帝人が開発した素材。日本発ということもあってか、日本国内のメーカーによって多く採用されている印象があります。Primaloft や Climashield と比べると、肌に直接着た際のチクチク感を若干感じる方もいるようですが、こればかりは個人差なので、これも一概には言えないかと。
他にも、大手メーカーが独自に開発している素材もたくさんありますが、これらは個人や小規模メーカーが入手できるものではないので、割愛しています。
さて、ここからが本題で、入手性の話になります。
まずは何と言っても MYOGer の味方、Rip Stop by the Roll で買えるかどうか。
結果は、以下の通りでした。
- Alpha Direct = Yes
- Primaloft = No (以前は販売されていた)
- Climashield = Yes
- Octa = No
ということで、実際に RSBR に注文した素材が届きました。
左から、Climashield APEX 2.5、Climashield APEX 10、Alpha Direct 4004 になります。
Primaloft は、RSBR 以外でも yard 単位で購入できるので、入手性は比較的高いと思います。
問題は Octa です。
ダメもとで帝人(フロンティア)に問い合わせてみたところ、現状は受注生産のみで、在庫販売は行っていないとのこと。
では、どれくらいのボリュームであれば、受注生産を受けてもらえるのかと打診したところ、生地1種類あたりで3桁反(たん)、つまり数万メートルがミニマムロットとの返答でした。
これは、個人で発注するのは明らかに敷居が高いです。
おそらく、小規模メーカーでも、相当なコミットメントがなければ、発注するのは難しいかと思います。
ということで、個人の MYOG プロジェクトとして active insulation 素材を使うのであれば、Octa 以外の素材で始めるのが良さそうです。
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