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NEMO ATOM 2P レビュー

NEMO ATOM 2P を購入してから、実際に数ヶ月間ほどトレイルで使ってみたので、この辺りで1度レビューしてみたいと思います。
テント泊ハイキング用に同テントの購入を検討されている方への参考になれば幸いです。

これまで使っていたテント

テント泊ハイキングを始めたくて購入した、フィールドアさんの FIELD CAMP DOME 100。
そもそもテント泊ハイキングが、自分のやりたいアクティビティなのかどうかも分からなかったので、いきなり高額なテントは購入せずに、ひとまず安価なこのテントを選びました。

それから約半年間、雪中でのテント泊登山も含めて十数回ほど実践で使用してみました。
その使用経験から言えるのは、これからテント泊登山を始められる方で、あまり投資をせずにそこそこ軽量なテントを探しているのであれば、今でも迷わず、この FIELD CAMP DOME 100 をオススメします。

このテントの重さは2.2kg ということで、さすがに本格的な山岳用のテントの軽さにはかなわないですが、それでもバックパックに入れて持ち歩くには十分に軽いです。
これで、お値段が1万円以下というのは、なかなかコスパが良いのでは。

滋賀県・比良山系の八雲ヶ原で1月にテント泊登山した時の様子

新しいテントを購入するきっかけ

やはり、重さです。

ある程度、テント泊ハイキングに慣れてくると、もう少し軽量でコンパクトなテントが欲しくなってきます。
特に冬山では、テント以外の装備も増えて、必然的にバックパックの重量も増えるので、荷物の中で1番の重さを占めるテントを軽量化したいと考え始めました。

ハイキング用テントの購入に際して、検討したテントは次の通り。

Montbell ステラリッジ

Naturehike CloudUp

NEMO ATOM

ステラリッジは、もう説明不要ですね。軽量なテントを初めて買われる方は、おそらくみなさん、このテントを候補に挙げられると思います。
CloudUp は 2kg 以下の重さで価格は1万円代。コスパの点でかなり優れていたので、候補として挙げていました。
ただし、CloudUp はインナーテントの大部分がメッシュになっていて、雪山で使うことを想定していた自分の用途には合わないことが分かりました。

結局、選んだのが NEMO ATOM でした。

NEMO ATOM を選んだ理由

1、高いコスパ

日本の高温・多湿の環境にあわせた設計がされていて、最小重量が 1.28kg、それで5万円以下という価格は、数あるメーカーの中でも群を抜いてコスパが良いと感じました。
(実際の購入価格は、メルカリで中古のもの選んだので 22,000 円でした。)
自分が使っているのは2人用の NEMO ATOM 2P ですが、それでも最小重量は 1.58kg と、2人用テントの中では十分に軽量な部類に入ります。

NEMO の日本向け特別仕様のテントとして、もう1つ TANI というラインアップがありますが、こちらはさらに軽量化されている分、コストも上がっているので、今回は購入を見送りました。

2、フルクローズが可能

ATOM・TANI 共に、インナーテントに部分的にメッシュを採用しつつも、必要に応じてフルクローズできる点も選ぶ際の決め手になりました。
実際に冬山で使うときは、インナーテントがフルクローズできるおかげで、相当に快適に過ごすことができています。

インナーテントのメッシュは下部に配置されていて、ベンチレーションが上部に配置されているので、冷えた新鮮な空気が下から入って、温められた室内の空気が上から抜けていくのが、テントの中でも実感できます。
これは、暑い夏の時期はもちろん、しっかりと暖気を逃さないと結露してしまう冬の時期にも重宝します。
こういった細かい設計が、「日本向け特別仕様」のゆえんかと思います。

3、入り口が長辺部分にある

ステラリッジと CloudUp は、テントの短辺部分に入り口があります。
これはこれで、いろいろとメリットがあるのは分かっているのですが、出入りのしやすさや前室の広さなどを重視して、長辺部分に入り口があるものを探していました。
これも、ATOM を選ぶ決め手の1つになりました。

4、広い前室

後述の感想の部分でも触れますが、ATOM の前室は台形になっているため、有効面積がかなり広いです。
一般的なテントの前室は三角形であるため、どうしてもデッドスペースができてしまうのですが、台形であればちょっとしたテーブルを置いても、まだ余裕があるくらいです。

近くの公園で試し張り、ビビッドなグリーン色が映える

NEMO ATOM を使ってみての感想

残雪期の 武奈ヶ岳 や、複数泊の 高島トレイル など、いろいろなシーンで ATOM を使用してみての感想ですが、自分のような初心者には最適なテントだと言えます。

フライ生地や縫製の品質もよく、使っていて特に不安に感じる部分はないです。
高島トレイルでは、初日に結構な暴風雨にさらされましたが、75Dのフロア生地のおかげでテント内が浸水することは一切ありませんでした。
(ちなみに、最新の ATOM OSMO のフロア生地は 68D ということで、若干薄くなっているようです。)

ATOM を使っていて一番気に入っているのは、前室の広さです。
一般的なダブルウォールテントの前室の形状が三角形であるのに対して、ATOM の前室は台形になっています。
前室を固定するためにペグが2本必要になりますが、そのおかげで、靴やテーブルを置いても、十分なスペースが確保できます。
この台形型の前室は、雨や雪が降っている時に、バーナーなどを使って食材を煮炊きするようなシチュエーションでは、本当にありがたい広さです。

台形の前室で広く使える

ATOM は、いわゆるドーム型のテントで、ポールを2本交差させて自立させますが、ポールをテントに固定するためにスリーブとフックの両方が使われている点も良いと感じてます。

テントの上部だけスリーブ式にすることで、インナーテントの頂点部分にほど良いテンションがかかり、テント生地がフラットになりやすいように設計されていて、中で座った時に頭上の圧迫感が他のテントよりもかなり少ないと感じました。
テント内の空間を最大限広げるために、あえて全てフック式にしなかったそうです。
一方で、TANI の方は全てフック式なので、このあたりは設計思想の違いでしょうか。

ATOM はテントの上部だけスリーブ式になっている

TANI は全てフック式になっていてテント上部の形状に違いが見れる

まとめ

軽量化を優先するUL志向の方は、そもそもダブルウォールテントではなく、シングルウォール・ワンポール・ツェルトなどが候補に挙がるかと思いますが、それらは初心者にとってはなかなか敷居が高いです。
なので、最初のテントは、まずは王道のダブルウォールから選ぶのが個人的には良いかなと思います。

そして、数あるダブルウォールの中で、NEMO ATOM は間違いなく、オススメできる製品です。
海外の製品であるため、修理やサポートを気にされる方がいるかもしれませんが、国内ではイワタニ・プリムスが代理店をされているので、新品で購入した場合はしっかりと国内で修理やサポートを受けられます。

余談ですが、自分は ATOM 2P を担いで、家族3人(大人2人と子供1人)+犬1匹でテント泊登山をやったことがありますが、なんと全員 ATOM 2P の中で寝れました。
これも、130 cm x 213 cm という広いフロア面積のおかげですね。

これからも、ATOM を相棒として、色々なところに旅に出かけたいと思います。

高島トレイル2日目@抜土でのテント泊の様子

Follow Kenshin

学校にクマが出没するような滋賀県の田舎町から、18歳で単身アメリカ西海岸に渡り留学、3DCG・コンピューターサイエンスを学ぶ。ゲーム業界でのエンジニアからキャリアをスタートした後、スタートアップを複数社起業。趣味のアウトドア歴は10年以上、ここ数年でULハイキングに目覚め、3D CADとミシンを使ってULギアを自作し始める。京都在住。
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MYOG – Ultralight Hiking & Camping

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